アウトドアスタイリスト山田昭一さん
POST GENERALが考える「アウトドア雑貨」について
記念すべき第一回は、ブランドのPRからディレクション・出演までマルチに活躍するアウトドアスタイリスト山田昭一さん。外遊び好きのプロである山田さんと、ポストジェネラルのディレクターを務める崎山からみた「アウトドア」とはなにかを紐解いていきながら、今後のアウトドアシーンやお互いが目指すビジョンにも触れた内容盛り沢山の対談となっています。
- アウトドアスタイリスト
- 山田 昭一
- SYOUICHI YAMADA
- 1978年生まれ。動物占いは小鹿だが、183cm90kgの巨躯。尊敬する人は山のフドウ。長くファッション業界にいたが、30半ばにして念願のアウトドア業界へ転身。総合メーカーのPRを経て独立後にアタッシュドプレス「people showroom」を立ち上げる。PRを始めブランドのディレクションからカタログ製作、広告代理まで幅広く事業を展開し業界内でも注目を浴びている。アンティーク雑貨や古着が好物で、特に8〜90年代のアウトドアモノに目がない。
- POST GENERALディレクター
- 崎山 英基
- HIDEKI SAKIYAMA
- 1977年生まれ。インテリアライフスタイルショップ「DOUBLEDAY」にてアンティーク家具やインテリア雑貨のバイヤー&MDを経て2018年より㈱クレエにて商品企画を担当。2019年にPOST GENERALブランドを立ち上げ現在に至る。子供の頃から古いものが好きで特に北欧ビンテージや旧車などに目がない。趣味:DIY、スキー
こんなアイテムがあればいいのに…POST GENERALの誕生とコンセプト
ーまずはじめに、POST GENERALを立ち上げられたキッカケはなんだったのでしょうか?崎山:POST GENERAL構想のキッカケは、こんな物があれば売れる、こんなアイテムがかっこいいなと思うけど他で見かけない。みたいなアイデアが先にありました。そんなアイテムを商品化しようと考えたとき、それぞれ点のアイテム企画ではなく、全体の世界観として表現できれば市場にないブランドになるのではないか?そうして立ち上げたのがPOST GENERALです。
崎山:ブランドコンセプトは「今あるものの価値を見直し、新たなエッセンスやデザインを加えることで、新しい価値の提供を目指す」というものですが、私自身がインテリア雑貨の業界に20年近く携わってきた中で見てきた雑貨、家具、ビンテージ、デザイナーアイテムなどすでに世の中に存在する「もの」にも視点を変えてみると別の価値観を市場に提案できるのではないか?と常々思っていた事を形にしていく事がコンセプトそのものとなりました。 例えばシンプルなエコバックだけど、エコバックぽくない素材(生地)を使う事で新しい価値観が生まれたり、元々インテリア用途のアイテムをアウトドアでも使える機能を加えたりとか、素材、機能、用途を見直す事で新しい商品としての価値を見出す物作りがPOST GENERALなんです。
(右)アウトドアシーンでのハンガーラックとして使える新感覚ギア「ソーホース&ハンガー」。
山田:最初にPOST GENERALのプロダクトを見て抱いた印象は、目新しさと馴染みやすさのバランスが絶妙だと感じました。インテリアで使われていたアイテムをアウトドアシーンでも使えるようにするということは、まさに崎山さんが仰る新しい価値を生み出すことで、今までにない”新鮮さ”を感じる事につながっていると思いますね。
山田:一方で、自分自身もファッションを通じてヴィンテージやミリタリーライクなものが好きなこともあり、POST GENERALのアイコニックな色使いでもあるオリーブやコヨーテなどの色使いやヴィンテージ感のあるデザインに惹かれました。アウトドアとミリタリーは親和性のあるジャンルだからこそ、私同様に共感してくれる方も多いのではないでしょうか。実際 私自身もキャンプやアウトドアの新しい見せ方や楽しみ方はないかなと日々考えているので、新しい価値を生み出すというコンセプトに共感する部分がとても多いです。
日本の住環境で使いやすい小ぶりなサイズ感に仕上げたワークテーブル。(右)程よい手触りと飽きのこないベーシックなデザインのリサイクルウールブランケット。
ここ数年ブームとなっているアウトドア市場について
ー日本でアウトドアブームがここ数年続いていますが、アウトドアの第一線で活躍されている山田さんは今の現状をどう捉えられていますか?山田:徐々にコロナが落ち着いてきて、ようやくイベントなども開催できるようになったことで、相変わらずアウトドア市場の熱量は高いですね。登山やサーフィンなどのアクティビティの人気が再燃し、その中心にキャンプがあるというイメージでしょうか。一方でエンドユーザー目線を考えると、ある程度ブランドによる供給が満たされた事で、今後はただモノをつくって売れるわけではないと感じています。
山田:より新しい価値あるモノや物の先にあるライフスタイルを提案しなければ、今のエンドユーザーには刺さりにくくなっていくでしょう。現在も数えきれないブランドが混在し、急速に拡大しているマーケットの中で、POST GENERALのようにブランドがしっかりとした軸をもって新しい価値あるものを作っていくことは今後のアウトドア業界にとっても重要なことだと考えています。
崎山:確かにご時世的に旅行や食事に行けない分、アウトドアアクティビティの需要が高まったように感じます。そのなかでPOST GENERALも、キャンプなどのアウトドアを楽しむ人々に対して、より価値のある提案を強めていければと考えてます。ただ、山田さんがおっしゃるように、ブランドとしての軸やフィロソフィーをしっかり持ち、アイテムに落とし込むことで、一人でも多くの方にPOST GENERALのファンになっていただきたいですね。
ー流行やブームに囚われすぎず、ブランドの想いをしっかり伝えることが重要なんですねアウトドアシーンを楽しむ遊び心や、少しニッチな嗜好性など「楽しむこと」を楽しむマインドを詰め込んでいます。
あくまで日常の延長。POST GENERALが考えているアウトドアとは
ー先程アウトドアというキーワードが出ましたが、POST GENERALとアウトドアの関係性はどう考えられてますか?崎山:POST GENERALは俗にいう「アウトドアブランド」では無く、インテリア雑貨をベースとしたライフスタイルブランドと考えています。インテリアって家の中の事なので、そこで毎日生活している空間=日常と思っています。そんな日常にもONとOFFがあって、休みの日にキャンプや旅行、スポーツに外出するのも日常の延長と思っています。ですので、今トレンドと言われているアウトドアも日常の一部であって特別異質な物とは考えていません。
崎山:ただ使う場所が外なだけで、別に見ため(デザイン)が普段室内で使っているデザインであっても良いと考えています。POST GENERALは「物」を提供しているブランドですので、同じ提供するなら、アウトドア専用とか、インテリア専用とかではなくで、多様なシーンでも使えるし、使い方(合わせ方)や使う場所も使う人次第で多様になる。そんな物作りにこだわりたいと思っています。
ー使うシーンを限定せず、ライフスタイルに合わせて自由に使えるアイテムを作られているということなんですね。山田:そういった意味ではPOST GENERALのアイテムは自由度が高いですよね。例えば代表的アイテムである「HANG LAMP」は家でも使えるし、キャンプや車の中、災害時でも防災グッズとしても使えますよね。あくまでキャンプギアという感覚ではなく、日々の生活や使う人のライフスタイルそのものを豊かにしてくれるものだと思っています。ちなみに僕は撮影の撤収時や、寝る前に本を読む時の読書灯として使わせていただいてます。笑
(右)付属のリモコン操作でON/OFF可能なUSB充電式仕様のLEDランプ。
今後POST GENERALが目指す未来とは?
ー最後に今後のPOST GENERALが目指すブランド像とは、また具体的なゴールなどあれば教えてください。崎山:今すでに台湾を拠点に韓国や中国、香港などへの流通もスタートしています。2月にはドイツのフランクフルトで開催予定のアンビエンテにも初出展予定でしたが、残念ながらコロナで中止となりました。
崎山:次回は出展し、ヨーロッパでもPOST GENERALの商品企画が通用するか勝負するつもりです。最終的にはペルソナコンセプトでもあるイギリスのブラックプールにショップができれば逆輸入完了です(笑)
山田:逆輸入いいですねー、是非お供させてください笑。これはあくまで持論ですが、日本のアウトドア文化はアメリカやヨーロッパと比べまだまだ後進国だと思ってます。今はまだブームと言われてますが、ゆくゆくは国内でもキャンプやアウトドアアクティビティが非日常的なことではなく、もっと生活に身近に存在してほしいなと考えています。そんな世の中のマストピースなアイテムの一つに、POST GENERALがあるといいですよね。
撮影協力:株式会社トルシープ
【TRCP GARAGE】
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